Kazumi Murose室瀬 和美
Profileプロフィール

Kazumi Murose 室瀬 和美 漆芸家、人間国宝「蒔絵」
1950年東京都生まれ。1975年冬華文蒔絵飾箱 第22回日本伝統工芸展初入選。1976年東京藝術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了。2008年重要無形文化財「蒔絵」保持者(人間国宝)に認定、紫綬褒章受章。2014年「人間国宝の現在(いま)」展出品(東京国立博物館平成館)、2017年ロンドン・在英国日本大使館にて個展開催。同年、バルセロナデザイン美術館にて講演を行う。2019年MOA美術館特集陳列「人間国宝 室瀬和美の世界」、2020年「工藝2020—自然と美のかたち—」展出品(東京国立博物館表慶館)、2022年「ホモ・ファーベル」展出品(ヴェネツィア)。2021年旭日小綬章受章。2024年選定保存技術「漆工品修理」保持者に認定。
Interviewインタビュー
全体のテーマは、自然の光のエネルギーを表現しようとしています。天からの光が広い海に降り注ぎ映り込む。光は形のない世界で、水も形に表せない世界です。その表現が固くなり過ぎると動きが止まってしまう。
今回は特に蒔絵螺鈿という漆の世界でも歴史的にみて前例のない規模の大きな作品ですが、そこにチャレンジすることが私にとっても大事なことだし、この作品を100年、200年先までも、多くの皆様に見ていただくために、ぎりぎり完成間際まで表現方法を考え抜きました。
私達の作品は、通常手元に置いたり近くで見ることが多いですが、今回の作品は5mも10mも離れて遠くから見ても効果があって、近くに寄ってもこれだけ密度のある仕事をしているという、その両方の見方をして頂きたいと思います。ただの平面的な作品表現ではなくて、素材や技法を駆使して一つの作品の中に立体的な表現が組み込まれている。だから奥行きも感じる事ができる。制作プロセスを知ることによって、見る方も受け入れられる要素が増えてくると思うので、そのあたりも鑑賞のポイントとして感じて頂けたら良いと思います。
Artworks展示作品

耀光耀瑛(ようこうようえい)
- 素材・技法
- 蒔絵・螺鈿
- サイズ
- W3000×H9000mm
- 展示エリア
- アスカプラザ
未来に輝き進むという願いが込められた大作。高さ約9m、幅3mの大壁面に、天空から燦めき注ぐ光と、海面に映り込み透明感のある光の情景を蒔絵螺鈿技法により描き上げた。「耀光」を表す上部は、背景に金箔を貼り、その上に注ぐ光を蒔絵螺鈿技法で描いている。さらに、細かく不規則に割った白蝶貝や蒔絵筆で1本1本描いた光、放射状に蒔いた金砂子などで、複雑に重なり合った光の広がりを表現。一方「耀瑛」を表す下部には、黒漆面に夜光貝を細長く切り並べるなどした後、塗り込みを重ね、研ぎ出し、艶を上げて仕上げている。

海游
- 素材・技法
- 螺鈿、蒟醤(きんま)、蒔絵、沈金
- 展示エリア
- 海彦
原画・監修は室瀬和美氏、沈金技術指導に山岸一男氏を迎えて制作された。
大海原のうねりを乗り越え、静かな港に入る船から見る波を表現。左手から大きな波の渦を表し、徐々に右手に向けて穏やかな波に移っていく情景を構成した。加飾表現は公益社団法人日本工芸会に所属する若手正会員が制作にあたり、それぞれの地域、技法を用いて制作を分担して仕上げた。
